やっと見積もりが出たので、パーツの発注を依頼。
今回は部品調達ではどうにもならないハーネスをなんとかします。
- ●7月下旬:ハーネスをDにはずしてもらい、一度受け取れるように手配
- ●ハーネスのコンタクトピンをどうするか
- ●8月上旬:Dへ赴き、修理のためDからハーネスを受け取る
- ●8月上旬:交換用端子の判別&発注
- ●いよいよケーブルの修理
- ●8月中旬:Dにリケーブルしたハーネス&保管していた純正マフラーを引き渡し、あとは修理完了を待つだけに
- ●9月 電装系のエラーが出ないことを祈りながら待つ&タイヤ発注
- ●9/25 納車
●7月下旬:ハーネスをDにはずしてもらい、一度受け取れるように手配
Dから連絡があり、以下のような状況になりました。
・調査中だったメインハーネスは在庫なしで確定、インパネハーネスも在庫なしで確定。
・インパネハーネスは位置的に水没箇所がないのでそのまま利用、メインハーネスは一旦受け取りのうえ、水没している可能性のあるハーネスをワンオフで作成可能かどうか確認する
・ハーネスの配線図はないため、現物でしか判断できないとのこと
・エアバッグコンピュータは中古の廃車発生品を落札済み、部品番号を確認したところ適合OK(元々はハーネス修理のため、コネクタの部品取り用に調達したものでしたが利用できるようで)
・センサはパーツ番号を元に中古で調達、調達したものをDに持ち込みする。エラー出るなら9月の新品を待つことにする
・ハーネスが取り外せる日程としてはDのお盆休暇明けを予定
という感じの内容でした。流石に1週間のお盆休み後だと伸びすぎてしまうので、なんとか無理を聞いてもらいギリギリお盆休みに入る前にハーネスを受け取れました。
●ハーネスのコンタクトピンをどうするか
ハーネスの特定のケーブルをリケーブルするにあたり、コンタクトピンをどうにかしないといけません。当然新品が調達できればいいのですが、物によっては新品が調達できない可能性があります。
新品が調達できない場合、水没可能性のあるコネクタを再利用せざるを得ませんが、その場合どのようにして電線内部の水分を追い出してやるか、という考慮をする必要があります。
電線は導体とシース(外装)の間を毛細管現象により水が侵入していくため、端子が水没していたら反対側まで水が吸い上がっている可能性があります。
(毛細管現象のグロ画像の例↓)
最終的には万一端子の調達ができなかった場合、以下のような方策で再利用処置をすることにしました。(今回は運良く交換予定のハーネスのすべてのコンタクトピンが新品調達できたので、最終的には下記の方法は使いませんでしたが。)
1)コネクタから端子を抜く
↓
2)端子清掃→緑青出てたら重曹使って清掃
↓
3)コンタクトピンから4cmほどで切る
↓
4)切断面からシリンジで無水エタノールを注入し、残っている可能性のある水分を追い出す
↓
5)天日干しして無水エタノールを飛ばす
↓
6)バットジョイント※で新規で調達したケーブルと接続、防水処理念入りにする
※バットジョイントとはこういう圧着接続用の端子のこと
●8月上旬:Dへ赴き、修理のためDからハーネスを受け取る
事前に調べた感じだと、エアバッグ関連のハーネスだけだと思っていたら何のことはない、
・エアバッグインフレータ
・エアバッグセンサ
・シートベルトプリテンショナ
・テールライト
・EPB
・パワーシート
・Fドア開閉センサ
・Rリアドアハーネス(開閉センサ、パワーウインドウ関連、Rドアスピーカー)
・燃料ポンプ
・燃料センサ
・キーレスエントリ
等のハーネスが全て一体になったとんでもないスパゲッティが渡されました。
そりゃ高いわけだし外すのにもクソ時間かかるはずだわ・・・
推測できるコネクタを書いてみましたが、他にもどこに接続されているか不明なコネクタが10近くあります。まさに大動脈。
今回は水没可能性のある
・SRSエアバッグECUハーネス⇔シートベルトプリテンショナ(黄色のコネクタ)
・SRSエアバッグECUハーネス⇔サイドエアバッグインフレータ?(オレンジのコネクタ)
の2つを交換予定。サイドエアバッグセンサも交換が必要かもと思っていましたが、Dに確認したところ設置位置は水没可能性はない場所だったため交換を免れました。
●8月上旬:交換用端子の判別&発注
今回の交換用コネクタはこの2つ。
黄色のコネクタ(シートベルトプリテンショナ)は本体にJSTの刻印あり、オレンジのコネクタ(エアバッグインフレータ?)はAMPのロゴがあることから、それぞれ日本圧着端子製造とAMP(Tyco electronics)であることが判明。
対向(エアバッグECU側)は住友のロゴがあるため、住友電装のコネクタであることが判明。コネクタメーカーと端子(コンタクト)のメーカーは基本的に同一なことから、それぞれのコンタクトもJST/AMP/住友電装です。
判別にあたり以下のサイトにはとてもお世話になりました。
・SRSエアバッグECU側コンタクトピン(住友電装)の特定
一番の問題は住友電装のコネクタで、今回お世話になったサイトを探しても多極のコネクタで該当のものはありません。
元々中古のエアバッグECUはハーネスコネクタのドナーとして調達したものだったため、このドナーのコネクタからコンタクトを抜いて、端子の現物を見ながら調査していきます。
コンタクトはECU側のオス端子をノギスで計測したところ、025タイプと判明。
コンタクトピンの抜き方はこちらを参考に。
コネクタハウジングにある白いパーツを精密ドライバで持ち上げたあと、まち針を使ってロックを外し引き抜きます。
外したら端子とにらめっこ。
予想通り端子の根本には住友のマークが有るため、住友電装のコンタクトで確定です。
あとは住友電装のサイトと、今回お世話になった配線コムのサイトとを探した結果、住友電装のTSシリーズの端子が一番形状が似ています。
全長が少し違うのですが、使えるかもしれないと思いこちらを発注。
おまけ:ハウジングをにらめっこした結果、ハウジングはトヨタ品番97980-12449の模様。これトヨタディーラーに行ってこの型番のパーツ欲しいと言えば買えたりするんだろうか・・・今回は再利用(というより4本変えるだけなので、その他のケーブルはそのまま)
ebayで出てきたハウジング↓
・シートベルトプリテンショナ(JST)の特定
こちらはJSTのエアバッグ用で配線コムですぐに見つかりました。
ハウジングもセットで販売していたため、ハウジングとセットで購入。
ハウジングは突起部分(キー)の位置が複数種あるので間違わずによく確認します。
(うちの子はAタイプでした)
不器用マンなので端子の圧着を失敗する可能性を考え、端子は必要数の3倍注文しました。単価は高くないので、再注文にかかる時間を考えると多めに注文して余らせたほうがマシという判断です。
・エアバッグインフレータ?(AMP製)の特定
こちらはAMP(Tyco Electronics)製です。
配線コムには取り扱いがないため、TEのサイトでひたすら捜索したところ、おそらく下記の組み合わせであることが判明。
ハウジングのキー(RIB POSITION)はCで、製品図面のCタイプがオレンジである点も合致と判断した理由でもあります。
こちらは先の配線コムにはありませんが、Digi-Keyには在庫がありました。
Digi-Keyの在庫は直接発注、もしくはマルツ経由で調達することが可能です。
今回は注文金額が少額になることもあり、Digi-Key直発注だと送料だけでとんでもない額になるため、マルツ経由で発注します。
こちらは発注から1週間ほどで到着しました。アメリカにお盆休みがなくてよかった。。。
・交換する配線を選定
端子が確定できたら最後に取り替える配線を発注。
電線だけは完全特定ができませんでしたが、ドナーとして調達したコネクタに使用されていたケーブルに
「TA-VSSX 0.5F」という記載があることを発見。
どこのメーカーだろうと当時は発見できなく、型番からAVSSXの0.5sqだろうと想定して発注しましたが、この記事を書いている時に発見しました。矢崎総業のAVSSX 0.5sqですわ。
自動車用極薄肉型架橋塩化ビニル絶縁耐熱低圧電線 AVSSX
https://connector.yazaki-group.com/cables/pdf/113_AVSSX.pdf
配線コムは住友電装しか取り扱いがないため、こちらのAVSSB0.5sqを発注。
余裕を持って長めに発注することと、元の色と完全な同色は難しかったことからシースorストライプが可能な限り同色となるよう手配しました。
●いよいよケーブルの修理
・腑分け
コネクタが届くまでの間に、ハーネスを腑分けしていきます。
電線を傷つけずに、ハーネスを包んでいるビニールテープを慎重に剥がしていきます。
剥いた電線がバラけないよう、マスキングテープで仮まとめしながら配線形状を保ったまま剥いていきます。
剥き終わり。
全体の4割ほどしか剥いてないはずなのですが、5-6時間もかかってしまった。。。
・端子が届いたのでいよいよリケーブル
Digi-Key発注分の端子は1週間ほどで着弾。すべての端子が揃ったのでいよいよリケーブル開始です。
リケーブルのために実は持っていなかった細線用の電工ペンチを調達。既存の手持ちは1.25sqが最小のため、これがないと0.5sqの圧着端子がまともに加工できません。
(これまでレーダー等の取付の際、0.75sqの圧着端子の作成に失敗してきたのはこれが原因でした・・・)
電工ペンチは安心と信頼のTONEをチョイス。TONE、よいぞ。
注意点としては、電工ペンチを用いて圧着した際、線径より圧着端子のほうが幅が広くなってしまうとうまくコネクタハウジングに入らないこと。
一度それでにっちもさっちも行かなくなって、線持って引き抜いたら端子だけハウジング内に残ってしまって超絶焦りました。。。
シートベルトプリテンショナとインフレータ側の端子はL字型になっていること、ノイズ防止なのかフェライトコアが入っているため、それを取り付け忘れないようにしながらリケーブルは完了。
ECU側の端子は結構な本数無駄にしてしまったので、3倍量注文しておいて本当に良かった。。。
・リケーブルが完了したので再シールして完了
リケーブルが完了し、ハウジングに収めた状態で導通及び抵抗値を確認、問題なければ再度ハーネスをハーネステープでマキマキしていきます。
今回もDIYの味方、エーモンにお世話になりました。
ハーネスの至る所に取り付けられていたクリップは流石に詳細な位置合わせは現物合わせでないと難しいので、仮止めして返却します。
●8月中旬:Dにリケーブルしたハーネス&保管していた純正マフラーを引き渡し、あとは修理完了を待つだけに
Dのお盆明けに何とか間に合ったハーネスリケーブルに加え、STIマフラーへ交換した際に保管しておいた無事な純正マフラーをDへ持ち込みます。
純正マフラーを持ち込みのために確認するとサビが浮いていたのでケレンかけ+防錆塗装をついでに行いました。塗装は以前排気系を塗装した耐熱塗料を利用。
●9月 電装系のエラーが出ないことを祈りながら待つ&タイヤ発注
あとは待つだけなのですが、電装系はどこまで無事かわからないというのが本音。修理はまず室内のハーネス系から行ってもらい、電装系のエラーが消えたことを確認した後に排気系を交換する&交換用のタイヤを発注することにしました。
ちなみにハーネス交換はバルクヘッドハーネス(エンジンルームと室内をつなぐハーネス)を含むため、ほぼ内装全バラシとのことでした。ダッシュボードはすくなくともごっそり外されているはず。。。
その後待つこと数週間、Dから連絡があり室内のハーネスの交換が完了、および交換時点でエラーは消灯していると連絡がありました。ここでやっと峠を超えたという実感が持てましたね。。。
なお、結局エアバッグECUは装着されていたものではエラーが消えず、持ち込みした中古のエアバッグECUへと交換になりました。(合わせてセンサ類も一式交換)
電装系のエラーが消えたこのタイミングで、任意保険の更新と交換用タイヤを発注。
(タイヤバルブの発注を忘れてしまい、バルブは交換していないため、頻繁に空気圧をチェックすることでこちらはひとまず様子見)
なお、パワーシートは現時点問題なく動作していることもあり、不調出てからの交換に変更になりました。パワーシートはモーターと座面が一体化しているため、基本的には座面ごとASSY交換となり一脚10万強とのことなので、不調に備え覚悟をしておく必要があります。
●9/25 納車
本当に長かった。。。長かったよ・・・
2011/9/25の納車から12年目の今日、2回目の納車となりました。
— makoro_activity.log (@makoro_br9) 2023年9月25日
(4ヶ月弱の修理期間を経てやっと修理上がったので受け取ってきた)
長かった…本当に長かった…会いたかったよ…愛しのレガシィちゃん… pic.twitter.com/l8UirBfaXt
奇しくも初納車は2011/9/25。修理上がりが2023/9/25。
初納車から12年後の同じ日に修理上がりとなりました。
未だにエンジンを始動後にエアバッグ警告ランプが消灯するかドキドキなのですが、これを本当に気にしなくなった時が真の修理完了と言えるかもしれません。
ちなみに大雨は完全にトラウマになりました。すぐ降水量と近所の川の水位を確認してしまう症状が発生中です。
そして一度水に浸かった足回り、これからどのような不調が出るかはわかりませんが、文字通り天寿を全うさせてやるつもりで乗り続けようと思います。
ひとまずは次の車検で水に浸かっている可能性がゼロではない&13年目になるのでタイミングベルトを交換しようかな、と思いつつ、大事に乗っていこうと思います。
本当に再度走り出せてよかった。