Think threshold

中の人のIYHにいたる顛末と購入レビュー。ときどき自宅システム構築備忘録。

買っちった。(AVHzY CT-2 USBプロトコルアナライザレビュー)

~会社での休み時間にて~
私「おぉー PDO見える見える・・・(感動)」
上司「これ見て誰がニヤニヤするの?」
私「多分USBの変態な人だけだと思いますよ。」

実話です。

GPD Pocketを購入した時に同時に購入したPlugableのType-Cチェッカ。
先日QuickChargeに対応してないことが判明したのと、
丁度PC WatchのType-C PDコラムで紹介されていたこともあり、
調べてみると7kほど。20kくらいのやつしか知らなかったので驚き・・・

Pixel3購入と同時に購入してしまいました。

 

 


●購入物、スペック

購入したのはコレです。AVHzY CT-2。

 公式サイトにPC接続用のドライバ、ユーティリティとマニュアルがあります。
マニュアルは英語のみのようです。仕事柄マニュアルは英語ばっかりなので特に支障なし。

また、搭載するマイコンはSTM32のようです。Arduinoを触っている身からすると、
STM32はそこそこ性能が高いマイコンというイメージなのですが、こんな事もできるんですね。


●外観

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筐体は説明書によるとステンレス?のプレートでメイン基板がサンドイッチされた筐体となっており、
持ったときの質感は高く、またそれなりに重量もあるためズッシリとします。

筐体には比較的大型の液晶が搭載されており、視認性はバッチリ。
本体上部のジョグダイヤルを押下することにより画面を切り替えることが可能です
(デフォルトでは自動でも切り替わります)

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筐体の左右は2.0仕様のType-Aポートが搭載されています(オスx1、メスx1)。

筐体上部はType-C Out、PCと接続するためのMicroB、操作用のジョグダイアル
筐体下部はType-C inおよびPD測定スイッチ(PD Testerスイッチ)が搭載されています。

 

●Type-Aポートの利用

Aプラグ(オス)を給電側に、Aレセプタクル(メス)側を受電側に接続すれば充電電流電圧を測定することが可能です。


AVHzY CT-2 電流電圧モニタリング

ジョグボタンを押すと画面の切り替えが可能です。


AVHzY CT-2 画面切り替え

ちなみに画面を触らないまま一定時間経過すると、デフォルト設定ではスタンバイモードになります。

ジョグボタンをすばやく2回押すことで、グラフ表示モードへ移行します。
電流と電圧の変化をグラフにして表示する事が可能です。
この画面でジョグを左右に倒すことでサンプリング間隔を変える事が可能であり、
サンプリングレートを落とせば解像度は落ちますがより長時間の電圧電流変化のグラフを、
サンプリングレートを上げれば解像度が高くなり、短時間での電圧電流変化の変化を観測することが可能です。


AVHzY CT-2 リアルタイムグラフ

 

●ログ記録モード

本体内の内蔵記録領域に電流電圧グラフを少しですが記録することが可能です。
ジョグを右側に倒してメニューを表示、
「Curve Create New」ボタンで記録を開始します。

記録後は「Curve Brouse」で記録の確認、「Curve Delete」で記録の削除が行なえます(Allで記録したログの全削除)

またログのサンプルレートやStart/Stopトリガは「Curve Setting」より設定できます。


AVHzY CT-2 グラフ記録

 

●設定メニュー

ジョグを長押しすると設定メニューに入ることが可能です。
画面の表示設定や時刻設定、設定初期化が行えます。

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●PCと接続しログ記録

上部のMicro-Bポートを利用してPCと接続し、PCで電流電圧を確認することが可能です。
なお接続するために必要なドライバはアプリケーションよりインストールが可能です。

・PCと接続し、ログ記録モードで記録したログの読み出し
筐体内部で記録したログを読み出すことが可能です。

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本体の液晶と比べて、表示の更新間隔が遅い(1秒の固定しか選べない?)ので、本体でキャプチャしたのを見るほうが良いと思います。


●Type-Cポート利用時の注意

Type-C PDを利用するデバイスの測定をする場合、
PD TesterスイッチをONにする必要があります。

 

●Type-CポートでのPDOキャプチャ


PD TesterスイッチをONにした状態でPCと接続し、
ソフトウェア上の「PD Listener」ボタンを押すことでPDOキャプチャモードに入ります。

本体下部のポートにType-Cケーブル、充電器を接続し、充電器の電源を投入。
画面左上の表示が「CCx Attatch(xは1または2の数字が入る)」となると準備完了です。
その後筐体上部のType-Cポートと受電デバイスを接続するとPDOのやり取りが走り、
PDOをスニッフィングすることが出来ます。

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ただ、個体差なのかは不明ですが、よく失敗します。。。
(うちの個体はうまくキャプチャできないときが多い)
なお、うまくキャプチャできない時は以下を行うと回復することが多い印象です。
・Type-Aポートにスタンドアロンで繋いで初期化
・PCアプリケーションを立ち上げ直す
・アプリケーション立ち上げ後、充電器接続後にそれぞれ10秒程度待つ

調子が悪いときは数回連続で失敗します。うまい方法を見つけたい。
まぁ格安でPDOキャプチャできる機器はあまりないので、うまく付き合っていくしかないかと思います。

 

●急速充電規格対応規格チェック


ジョグを左側に倒すと、「Fast Charge Trigger」という急速充電チェックが行えるモードに入ることができます。
説明書にも記載がありますが、このモードを実行することにより
充電器が破壊される可能性もありえます。
実行は自己責任で行いましょう

さて、実際の手順ですが、充電器にCT-2のみを接続し
このモードに遷移します。
PD TriggerスイッチはOnにしておきます。

「Don't plug-in any devices except the being-triggered guy!!」
と赤文字で表示される通り、測定する充電器以外のデバイスは一切CT-2に接続しない状態にしておきます。

この画面でジョグを押下すると

メニューから急速充電規格ごとに個別に実行もできますが
「Auto Enumrate」を選択することにより、以下の急速充電規格が一括でチェックできます。
Auto Enumrateでチェックできる急送充電規格:
Apple 2.4A
Samsung-5V-2A
・USB-DCP-5V-1.5A
・QC2-9V-12V-20V
・QC3.0
Samsung-AFC-9V-12V
・Huawai-FCP-9V-2A
Huawei-SCP-4.5V-5A

チェックが順に行われていき、緑色で表示されているものが対応、グレーアウトが非対応となります。

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PDに関しては専用の項目を選ぶことで、充電器がサポートしている電圧電流をチェック
(PDOの確認を)することが可能です。充電器の性能が知りたいだけであればこのモードだけでOK。


●QC3.0動作シミュレート機能


QuickCharge3.0は電圧を無断階に変化させることができる充電方式のため、
QC2.0のように「xxVの電圧に対応」というような事がありません。
QC3.0エミュレートモードではこの電圧の無段階変化を擬似的に再現させることが可能です。
First Charge TriggerメニューからQC3.0測定モードに入り、
ジョグを左右に入力することで任意の電圧にすることが可能です。

 

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●Type-Cケーブル E-Markerの内容確認


Fast Charge Trigger機能には、Type-CケーブルのE-Markerを読み出す機能も入っています。
FastChargeTriggerメニューから「E-Mark info Reader」を選択し、
Type-Cケーブルを接続することでE-Markerの値が表示されます。
PD非対応等、E-Marker非搭載のケーブルの場合は接続しても何も表示されません。


AVHzY CT-2 E-Mark info Reader

 

●Type-C PD2.0/3.0充電器の充電性能確認


前述の通り、PCに接続しType-C PD充電器ののPDOをキャプチャすることが可能ですが
充電器の出力性能だけチェックしたい場合は単体でも確認可能です。
FastChargeTriggerより「Power Delivery」を選択し測定モードに入ったあと、
Type-C充電器を接続します。
接続後はすぐに(数秒以内)充電器のサポートするType-Cの電圧電流が表示されます。
また、接続後に「Fixed」を選択すると、特定のPDOのみを送信する事が可能です。

「PPS」モードは電圧を任意の値に変更し、PDOの動作変化を見るモードになります。
ジョグダイヤルの左右で電圧を指定、押下することで決定します。

 


AVHzY CT-2 Power Delovery確認

※動画で利用しているAnkerのPowerPort +5 Type-C PDは初期ロットのため、20VのPDOがおかしいです(30Wが仕様上最大なので、1.5Aとなるはずですが初期ロットは2.25Aを出力します)

●まとめ


通常のチェッカとしての機能でだけでなく、PCでのログ記録や
Type-C PowerDeliveryを始めとした各種急速充電規格のテスト機能を搭載、
さらにPDOのキャプチャ機能も備えていると非常に高機能です。
PDOキャプチャを備えていることにより、トラブルの起きやすい
Type-C PD関連の動作の検証が可能になり、謎の解明に役立ちます。

実際に「Type-C HUBを経由するとMacBookへの充電が遅くなる」という現象で
HUBあり、なしでそれぞれキャプチャしてみたところ
「HUBが5V以外のPDOを流していない(充電器は出しているのにHUBが理解しない)」
ということが判明し、結論としては”HUBがイケてない”という判断ができました。

これでUSB充電はあらかた解析できるようになったので、今後も安泰ですね(何が?

 

●おまけ:手持ちの充電器のPDOを片っ端から調べてみた


観測できる範囲で、Type-C PD充電器のPDOが気になるので調査しました。

調査の都合上、測定方法が統一されていませんが。。。

・Anker PowerPort5 +PD

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20VのPDOが何故か出るのが遅いようで、PDOでの電力パラメータが2回通知されます。

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本体のみでのキャプチャで見る場合でも、20Vが一瞬遅れて表示されます。

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この1つだけPDOが遅れて出てくる挙動のため、MBPと接続した際は、

15Vが最初選択され、その後20Vになるようです。



・GPD Pocket初代の付属充電器

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・Pixel3の付属充電器

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Nintendo Switch ACアダプタ

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・MacBookPro 60W Type-C ACアダプタ

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